チェコと台湾

チェコは、旧ソ連の配下において、その共産主義から脱却するために多くの努力をしています。

 

まず、1868年のプラハの春です。チェコスロバキアドプチェク共産党書記長は、自由と民主主義を取り戻す「人間の顔をした社会主義」を目指しました。これにより開放的議論やファッションがプラハの街に開花しました。しかしソ連共産主義の軍事行動で崩壊してしまったのです。一瞬でしたが、僕はこの解放政策を見て、素直な安堵感を覚えた記憶があります。

 

そして次が、1989年のビロード革命です。これにより共産党政権が倒れ、民主化が実現します。この時の運動の代表が後の大統領であるハヴェルです。このハヴェルが、大統領を辞した後、2004年に台湾を訪問し、台湾との友好を築いたのです。チェコのハヴェルと台湾の李登輝が、共に共産党と戦ったとして、讃えられるにはこの経緯にあります。

 

そして今回、2020年、チェコのビストルジル上院議長が、自由と民主主義を守る同士として台湾を公式訪問したのです。しかもこれに先立って、プラハは北京との姉妹都市関係を絶って、台北姉妹都市となったのです。当然中国はこれに猛反発しています。共産党から脱却するチェコの歴史は、台湾のそれと重なります。ビストルジル上院議長は講演を行い、かつてソ連共産主義と対峙する西ベルリンで「私は西ベルリン市民です」と言ったケネディ大統領になぞらえて、「私は台湾人です」と言い、大喝采を浴びました。

 

※追記

さて、先月末から9月にかけて、中国の王毅外相がヨーロッパ訪問をしました。最後はドイツでしたが、親中的なドイツでさえ、中国の人権問題について論及せざるを得ませんした。メルケル首相は未だドイツよりの姿勢のようですが、その姿勢を批判する声がドイツ国内からも出ています。中国の人権問題に対する世界の包囲網は、日に日に大きくなっていると言えます。