性欲と性犯罪から2分心を考える

自分自身をコントロールするのが大変難しい事は、性犯罪の再犯率が高い事でよくわかる。平成27年犯罪白書では、一度子供に手を出した犯罪者の再犯率は84.6%と極めて高いのです。犯罪者に対し、単なる教育や制度制限では、性犯罪はなかなか抑制できないものなのです。

 

男性の場合射精の欲求が高まるとその制御はかなり困難です。たとえは悪いですが、小便と同じように、純粋に肉体的欲求でもあるのです。というのは、射精後はその欲求は極端に小さくなっていることでもわかります。ですから性的欲求に対しては、その処理の仕方を心得ていないと、犯罪に走るの危険性は多くあるのではないでしょうか。特に酒や集会の場所などによって、犯罪の誘発性も高まると思われます。

 

僕がここで指摘しておきたいのは、性欲というものはとても強いものであると言う事です。その欲求は理性で制御できないといってもいいでしょう。僕はこの点からも、2分心(※)による人間理解は有効であると思っています。つまり、右脳からの指令信号に左脳はなかなか抵抗できない、と言う理解です。そして、その右脳の指令から脱却するには、その指令を客観的にみて思考し制御することが求められるのです。良識ある男性であれば、この過程を経て性欲を制御しているのではないでしょうか。

 

僕は、このことから考えても、人が2分心構造から意識を生み出した過程を想像できるのではないかと思うのです。社会的に不都合な欲求や衝動を制御するためには、その欲求や衝動のなすがままではなく、その欲求や衝動(右脳の指令)から離れ、自分自身の行動の見直しが必要なのです。これこそ、意識活動の誕生の瞬間なのではないでしょうか。

 

2分心からの脱却において意識を作り出す”努力”がなされたと、ジュリアン・ジェーンズは言います。人間は、自分自身の心の内観と努力によって、動物としての人から、人間社会の人として成長してきたのです。その過程において、右脳と左脳を結ぶ橋梁が細くなってきたとジュリアン・ジェーンズは分析しています。この点から考えると、性犯罪者は性欲に関して右脳からの指令が強い状態と思われ、その再犯防止には脳の構造の点からも考えることが求められる気がします。

 

※2分心については、2020年8月30日の僕の日記を見てください。

turusaburou.hatenablog.jp