新しい人間社会のリーダー

コロナ禍は世界を一変させました。人と人の接触をなるべく避けた生活です。これは今までなかった事です。今までの経済は人々の交流を基に発展してきたのですから、根本的な変革を求められているのです。今までの、密な事、早い事、大きな事が否定されているのです。そして、その世界を引っ張ってきた両角の、米中が苦しんでいる姿を呈しています。とにかく早く強い事を目指してきたアメリカ、そのアメリカの作った世界を支えてきた中国は、今度は自分がその世界のトップになろうとしている。でもその両方が目指していた世界像はもはや描けないのです。

 

新たな価値観をベースにしないといけない。米中はそれができるであろうか。アメリカはそれを世界に分けるのではなく、自分の国の中だけでやろうとしている。中国は同じ事を自分のやり方で世界に押し付けようとしている。しかし、アメリカも中国も自国内に大きな問題を抱え、爆発寸前に思えるのです。アメリカは根深い人種差別、中国も多くの人民を犠牲にした独裁政治。その根源は、産業革命後にそのエネルギーの捌け口を求めて、西欧がアフリカやアジアに向かった、そのやり方の終着点です。さらに中国は、東洋を捨てて、西欧の仮面になってしまったのです。

 

僕は、第一次世界大戦後のパリ講和会議国際連盟委員会において、大日本帝国が主張した「国際連盟規約」中に人種差別の撤廃を明記するべきという提案を思い起こす。アメリカ合衆国大統領だったウッドロウ・ウィルソンの反対で否決されたが、国際会議において人種差別撤廃を明確に主張した国は日本が世界で最初なのである。この事は、日清・日露・第一次世界大戦を生き抜いた、日本が、西欧とは違う方向に向かっていた事を示している。

 

日本には、正確には日本の侍には、他の地の人民の生き血を吸って生きようとする考えはない。いや、戦った相手の軍人にすら、人として接してきている。日露戦争で降参したロシアの将軍アナトーリイ・ステッセリは、乃木大将に敬意を表し自分の愛馬を送った。硫黄島で激闘したアメリカ司令官スプールマンスは、日本兵の高貴さに感激し戦後その事を講演して回った。いずれも、それまでの西欧の考えとは根本が違っており、そのことに心を打たれたのである。

 

今の日本人はもう忘れているが、日本には、西欧の思想をこえ、人種差別を超える知恵があると思っている。そしてこれが、コロナ禍の後に実現すべき知恵である。欧米人の心の中には、きっと、その思想をよしとする心があると思う。しかし、今の中国による世界支配が始まったら、おそらく人類は荒廃の道に向かうであろう。日本人よ、そしてぼく自身も目覚めよ。