人種差別の根深さ

ジョージ・フロイドさんの暴行死に対する抗議の運動が広まる中、木に宙吊りされた黒人男性の遺体が相次いで発見されているという。当局は直ちに自殺と断定したが、遺族関係者が抗議と再調査の申し立てをしているという。アフリカ系アメリカ人にとって、木に宙吊りされると言うことは、リンチされたことを意味する。アメリカにはかつて南部を中心に、黒人を木に吊るして集団リンチで殺す凄惨なテロがはびこった歴史があるのだ。

 

これは黒人を奴隷として使う一方、白人の純血を守ろうとする優生学に基づいた、白人至上主義の考え方がその根底にある。アメリカ大陸の開発において、黒人は労働力として扱われ、一種の道具として見なされたそんな歴史的背景もある様に思う。確かに、ジョージ・フロイドさんの頭部を押さえつけた白人警官の素振りには、人間に対する心の態度が感じられない。そして、残念ながら黒人だけでなく黄色人種に対しても同じ感覚を持つアメリカ人が今も存在してる。15日、カリフォルニアで「日本へ帰れ、言うことを聞かないと爆破する」と張り紙をされた日本人経営のお店があったのだ。

 

西欧文明の科学力によって発展した現代にあっては、白人至上主義による人種差別を消し去ることは難しいのかもしれない。西欧文明の根底にある、奴隷社会の歴史の過ちと、むしろ人としての問題点を認識しなくてはいけないのだ。人類は神が与えた肌の色の違いを克服し、新たなる種に進化が必要なのかもしれない。