台湾の歴史3(2つの祖国と台湾人)

第二次世界大戦終結は、台湾にとっても大きな転換点であった。「日本軍」として戦ってきた台湾が、中国人の国として、「戦勝国」になったのである。そしてかつての祖国、中国が台湾にやって来るのである。日本人として生きてきた台湾が、中国になるのである。台湾の人達は、不安の中にも、期待と希望を持っていたと思う。

 

しかし、中国の統治は、過酷であった。外省人(大陸中国人)による本省人(台湾人)に対する差別•迫害は徹底して行われた。政府の役人や官僚は外省人で占められ、本省人は非征服民として扱われたのである。そして、賄賂や不正による社会の荒廃は、本省人の不満となり、二•二八事件として爆発する。

 

1947年2月27日、台北市の巡回中の官憲が、老婆が生活のために売っていた“密輸タバコ”を没収し、売上金を没収した。さらに、この老婆を銃で叩き、老婆は頭から血を出し、その場に倒れたのだ。この一部始終を見ていた民衆が、官憲たちを取り囲み非難をする。その時、恐怖を感じた官憲の1人が、事もあろうに群衆に対して銃を発砲し、若者が殺されたのである。

 

怒りは台湾全島を駆け巡り、翌2月28日、本省人は長官公署前の広場に集まり、抗議のシュプレヒコールをあげるのである。これに対し、官憲隊は機関銃掃射で応じ、死傷者が十数名を数えた。これにより、群衆の怒りは頂点に達したのである。

 

官憲対本省人の対立は、外省人本省人に発展し、台湾は無政府状態となったのである。その時、南京にいた蒋介石は、反乱分子を一掃する事を命じた。これにより台湾人の検挙、処刑が行われ、事件は力で抑えられたのである。

 

この事件により、本省人は中国人とは違う「台湾人」を意識し始めたと思う。日本人魂を植え付けられた台湾人は、台湾を中国とは違う国として戦い始めたのである。