お父さん、お母さん、お疲れ様ありがとう

僕の父は、40年前に亡くなりました。大正12年生まれで、57歳でした。フィリピンへ学徒出陣、左右の戦士が銃弾に倒れる中、生還したと伝え聞いてる。その事について何も父から聞かぬまま。今にして思えば、どんな胸の内であったであろう。何を子供に伝えたかったであろう。

 

そして母は、今特養に入所している。認知も進み、遠い昔の事はもう思い出せない。とても外交肌で、PTAではいつも役員をしていた。健康のためと玄米食普及の協会運営をした。夫亡き後は出家し、尼僧となった。しかしその裏では、義弟から強姦され妊娠させられる苦しみがあった。

 

僕にとって、父母は対等の存在ではなかった。その生きる苦しみを聞き取れる自分ではなかった。父は、母は、苦しみを黙って生き続けてきたのだと、今にして知るのである。子供として、少しでも、楽にさせてあげたいと思う。

 

でも、親子というのは、こんなものであろう。だから、父母亡き後、その魂に語りかけるのだ。そして、それができるのだと、僕は少し納得し始めている。幸い、認知でも、母は生きている。今からその魂に語りかける練習をするのだ。魂を納得させる事、それが最大の孝行かと思うのである。