母逝く、母の声

母逝く

94歳でした

四十九日の回向を行い

振り返る時間を得ました。

 

僕は70歳

母が認知症になって10年、

記憶の薄れる母と向き合い

より真剣に話をしました

でも、

亡くなってからの方が

より多くの時を会話している

自分に気がついたのです

 

90歳で片脚切断を決意してもらった母。

その後、その事は忘れたように

会話をした母。

心の満足を求めても、

思うようにならないけれど

一所懸命

生きようとしていた母。

 

でも最期は、

穏やかに静かに一人で旅立ちました

ホームに駆けつけた時

母はいつものように寝ていました

 

ありがとう、

お疲れ様でした。

 

その一所懸命さ

生きて行こうとする声を、

僕に刻んでくれたこと

僕は感謝しています。

 

四十九日を経て

もう一つ

母が僕に伝えてくれたことに

気がつきました。

 

それは自分の使い方

 

僕は、20代は

腎臓病で長いこと病院生活でした。

でもその時、

きっと母は必死で

運命を恨まぬ事、

病気は苦しめようとしているのでは無く

元気になろうと闘う体の姿である事、

僕に教えようとしていました。

 

その時僕は

はっきりと認識していたわけでは

ありません。

が、

僕は、自分の体で感じ、

その声を聞き

やがて

身体と共に病気を克服できたのです。

 

運命を恨み、病気を恐れていたら

とてもできなかった事です。

 

肉体を通して、

心の叫び

魂の声を

聞く練習を

していたのだと

今、僕ははっきりとわかります。

 

人の言葉は、

たとえお医者さんの言葉であっても

自分の体で確認していました。

 

魂の声を聞く

自分の頭で考える

これこそ

母から教わった

大切な事だった。

 

これこそ

混乱し、迷える、

現代の人々を救う

妙薬とも思うのです。