生まれた時を今一度思い出そう

僕は昭和26年(1951年)生まれ。東條英機 元総理大臣等、東京裁判A級戦犯とされる7名の絞首刑が執行されたのが1948年12月23日です。ですから、僕が物心ついた小学校低学年時は、まだ戦後の臭いがありました。手や脚を失なった傷病兵が、ゴザに横たわりながら、駅の広場で歌って施しを請うていました。

 

僕は何の事か分からぬまま、可哀想な人だなあと思っていただけでした。学校でも、日本は悪い事をした国だとだけ教わり、フィリピンに学徒出陣した父親からも、戦争の生々しさはついに聞かずに終わりました。

 

たった70年、物心ついてから60年しか経っていないのです。しかし、世の中の雰囲気は大きく変わり、当時の雰囲気は忘れつつあります。

 

その時、何が隠され、何が断絶したのでしょうか。僕は、今一度、父が、軍人としてインドネシアに行った祖父が、何を感じていたのか、何を伝え残したかったのか、心をむけてみようと思う様になりました。