玄米釜

僕の玄米食との出会いは、10代の頃である。それほど丈夫ではなかった僕に玄米食を勧めたのは、母親であった。もう50年以上前のことである。しばらく玄米食を止めていたが、5年ぐらい前から玄米食を再開した。

 

僕にとって玄米食の利点は、次の2つである。ひとつは大便がきちんと出ること、そしてもう一つはご飯の量が減ることである。僕の健康は、この玄米食の利点によって保たれていると言っても良い。

 

さて、玄米食には玄米窯が必要である。50年前の当時玄米食と言えば、ワタナベ式圧力釜が唯一の道具であった。真ん中に圧力の重しがあり、楕円形をした蓋をねじ込んで止める構造である。

 

そのお釜は根強い人気があり、最近も掘り出し物がオークションで目にすることがあった。しかし、もうパッキングなどの部品もなく過去のものとなってしまった感がある。

 

僕が今使っている圧力釜は、パール金属製である。しかし構造は、昔のワタナベ式とほぼ同じである。

 

実はその昔、僕は母と一緒に、この玄米釜の研究所を尋ねたことがある。渡辺さんのそのお宅は、東京大田区東工大のグランドの裏にあった。「家中に玄米を撒き散らしながらお釜を考案しました」と言う言葉だけが頭に残っている。健康のために玄米食を普及させたい、と言う思いがあった。その思いは、今もその窯の形に残されていることを僕は知っている。