DVはどうして起きるのか

2015年に内閣府が発表した「男女間における暴力に関する調査報告書」によると、約4人に1人の女性が配偶者からDVを受けた経験があり、約10人に1人は何度も被害を受けていると言います。現在のコロナ自粛で夫が自宅にいる事が多くなり、DVも増えていると言います。

 

僕はこのDVの多さに驚愕します。率直に言って、こういう行為が理解できない。何らかの病的要因がある場合や、支配欲が強かったり独善的性格だったり明らかに我儘だったり、人としての未発達な場合もあると言うことです。でも驚くことはこれらの要因に当てはまらないことも多いのです。

 

真面目で普段は優しい性格の人が突然に暴力を振るってしまうという事です。それがもう抑えられない状態と想像されます。ですから、ふと我に返って猛烈に反省し謝罪するのです。

 

例えが悪く申し訳ないのですが、性犯罪や薬物使用を繰り返してしまう場合と似た状況ではないかと思ってしまう。加害者も被害者も、それは地獄のような世界です。

 

DV加害者向け教育プログラム「アウェア」のグループセッション参加者の話では、暴力を振るう父親を見て、絶対にそうなるまいと思っていたのに気がついたら自分がそうなっていたと言うのです。一方、妻の母親はキレやすく、物を投げたりする人で、彼女は幼い頃からそれにただ耐えていたというのです。そして、我慢するという精神的習慣ができていたと言う。この両方の性格がDVを増長させてしまったようです。

 

人の心の奥には、性欲的な衝動や快楽を求める気質があると同じく、力を吐き出す衝動もあると思う。これらの精神的衝動は、時と場合を限れば生物として生き延びる上で必要なものかもしれない。

 

大切なのは、臭いものに蓋をするもではなく、無視することなく、上手く処理する方法を持つことだと思うのです。そして、特にDVに限って言えることは、自分の愛情表現、感情発露の手段を作る事ではないか。暴力的エネルギーを別の方向へ向けることでDVは克服していくことも大切だと思うのです。