武士道とは(武士道2)

武士道とは、一言で言うと品格ではないか。それはもともとは、武士の生き方を表したものだったのであろう。しかし武士は、命を捧げて主君に仕える存在である。命をかけるという覚悟を普段から身につけていなければならないのである。そういう日々の修養によって鍛えられ、現在のような武士道ができたのだと思う。そして修養を積んだ家来に囲まれた主君は、その厳しい目に晒されることになる。家来にとって、主君もまた、命を捧げるに値するものではなくてはならないのだ。命より大事なものがそこになければならないのだ。

 

一方主君の立場からすれば、場合によっては家来に命がけの命令をくださなければならない。そういった命がけの命令を出すということは、自分自身はそれ以上に命を投げ出す事が出来なければならない。この為にも主君自身も修養を積まなければならないのである。

 

このような生きる上での厳しさが武士道の中にある。それは人の倫を踏まえた品格とでもいうべきものであろう。だから単に武術に優れているというだけではダメなのである。文武両道の素養を持ち、その上で勇気と優しさを持った品格、これこそ武士道の目指すものだと思う。仁・義・礼というのは、その武士道をいろいろな切り口で見た時の側面と思う。その奥には、命をかけるに値する品位があると考えている。