明るい人、暗い人

明るい人と暗い人の違いは何でしょうか。明るい人が来ると、その場の雰囲気が停滞せず、前向きに明るくなります。暗い人が来ると、今まで軽やかだったその場の雰囲気が、停滞し沈んで押し黙ってしまいます。この雰囲気の違いの原因が、明るい人と暗い人の中にあると考えられます。

 

元来、僕は、暗い人でした。いつも考え込んで、一人で思いをめぐらせ、明るかった雰囲気を消していたのです。僕は長い間そのことに気が付きませんでした。あなたが来ると暗くなると、妻からもよくいわれました。でも、それはどうしようもない、別に暗くしようとしているわけではなく、むしろ良くしようと考えていたのだ、と心の中で思っていました。

 

ただ、それはやはり、言い訳であって、その場の雰囲気を重たくさせていたことは間違いありません。そして、それではいけないと、考え始めていました。でも、どうしたら、明るい人間になれるのでしょう。明るい人というのは、沈んで考え込んではいないのだ。氣持ちを上に向けて、その氣持ちを相手に投げかけているのだと考えました。

 

僕は、警備隊の隊長をすることになって、しばらくして、今までの自分ではいけないと氣付き、努めて明るくしようとしました。巡回から帰隊して防災センターに入るドアの前で、自分に「明るく明るく」と言い聞かせました。努めて笑顔でドアを開けるようにしました。そして、そう言い聞かせることによって、顔が笑顔で入室できるようになってきたことがわかりました。僕自身も氣持ちが明るくなってきたと感じられました。

 

防災センターに入った時、待機していた隊員に、「公園で幼児があそんでいたよ」とか、「車がいっぱい並んでいた、何かあったのかな」とか、氣軽に言葉を出せるようになってきました。だいぶ後になってわかりましたが、この声を出すことが大事だったのです。

 

僕は、今、明るい人と暗い人の違いを次のように理解しています。つまり、明るい人というのは、「氣」を前に動かせる人、「氣」を沈めない人なのです。暗い人というのは、氣を滞らせたり、せっかく動き出した氣を逆向きにしたりする人なのです。養生訓の中で良く書かれている言葉に、「氣をよくめぐらす」というのがあります。その意味が今よくわかりました。