相手の立場に立つ

僕は警備隊員です。3年前に立ち上がった新規建物の警備隊です。ぼくは隊長として、立ち上げ当初から関わってきました。そして介護などの家庭状況もあり、1年前に隊長を後進に譲り、一般隊員として働いています。

 

隊長の仕事は種々細々とありますが、やはり一番重要なのは、隊の気持ちをまとめていくという事です。「警備員」ですから、一般的には最初から好んで選択した仕事ではなく、いろいろな経歴や事情を抱えた人がほとんどです。かく言う僕もその一人でした。

 

ですから、積極的な職業意識はないのです。一般に求められるような、モチベーションに裏打ちされた行動は期待できません。と言うことは、隊長が一身にそれを請け負って引っ張るしかない。しかも新規物件なら警備計画も整備して行かなくてはならない、求められる仕事は半端ではありません。

 

実は今月も隊員が1人退職します。新しい隊員の補充があるまで、その欠けた穴を補填しながら、頑張るしかありません。やはり、ここでも、隊員の気持ちをまとめていく事が大切となります。そして、その時に必要なのが「相手の立場に立つ」事と思います。

 

思うように動かない隊員に不満を持ったり、ミスに怒ったりではまとまりません。何が動かない原因なのか、なんでミスしたのか、そこが大切です。それを1つ1つ潰していく事が、隊をまとめる基本と思います。したくてそうしているのではない、と言う事がわかれば、それは解決します。相手の気持ちに添いながら、ともに考えれば納得できる点が必ずあります。焦ったり無理は禁物です。

 

しかし一方、悪意を持ったり、病的な気持ちを持っていたりした場合は別です。通常の善意を持つ隊員の為に、この場合も、寄り添いながらも圧力をかけていきます。今までの経験では、多くの場合、自然に辞めていきます。

 

僕はこんなふうにしてやってきました。基本は「相手の立場に立つ」なのです。これからもそうやっていくでしょう、というか、そうやり方しかできないのが、僕なのです。

 

今振り返ると、65歳過ぎてからでよく頑張れたと思います。そしてこうやって、後進に譲る事ができ、一般隊員として勤務できることを心から感謝するのです。いろいろな事があり、隊員も多く入れ替わりました。当初から勤務しているのは僕と、現在の隊長の2人です。そして現在も色々な課題を抱えながら隊は活動しています。