大脳思考の発見

僕には、古代ギリシャ哲学が誕生した頃の事で、理解できなかった事があります。それは、あのギリシャ哲学という、巨大金字塔を打ち立てた古代ギリシャにおいて、どうして「神託」政治が行われていたのかということです。

 

ギリシャ哲学者のタレスは、紀元前625年頃から547年頃の自然哲学者で、日食を当てたと言われています。そして、それまでは神話的説明がなされていた「この世界の起源」について、論理的思考の結果、「万物の元は水」であると言った人です。これを持ってタレスを「最初の哲学者」というのです。

 

論理的思考(大脳による思考)は、神話的感覚(大脳以外の中枢)とは違うものです。この大脳による思考によって、哲学が開始されたと考えられます。タレスは、神話では「この世は神が創った」とされるけれども、本当にそうなのか?と「考え」始めたのです。神話的感覚から、大脳思考への転換です。

 

このように考えると、古代ギリシャにおいては、一般的には神話的感覚がまだ残っている中で、大脳に目覚めた一部の哲学者が、「考える」事を始めたのだというふうに理解できます。そういう理解をすると、古代ギリシャにおいて、神託政治が行われていた事も理解できます。何しろ、アポロン神殿の巫女の言葉によって戦争が開始されるのですから、神話的感覚が充分にあったといっていいのでしょう。

 

でも、その大脳的思考を古代人がいつ気づいたのだろう、と言う疑問が残ります。これについては、ギリシャ文明とクレタミネソタ文明の間の、暗黒の時代と言われる、紀元前1200年から紀元前700年ぐらいの間になにかあったと考えられます。大脳思考の発見は僕にとって大きな課題です。