捨なさい文化から繕えていこう文化へ

今は物に溢れている。100円ショップに行っても、ドンキホーテなどの雑貨店に行っても、色んな物だらけ。しかも安い。沢山の物を買い、沢山の物を捨てることを何とも思わなくなっているのだ。整理学と称して、物を捨てることを称賛する実用本が人気になっている。世の中の活動を回転させるためには、物を回すしか無くなっている。世の中のお金を回すのはこんな方法でいいのだろうか。

 

僕は今日、自分の手袋の繕いをしていた時こんなことを考えていた。手袋の親指の根元にできた小さな穴、これを繕っていた。もう1か月前には別のところを繕っていた。小さな穴は、ほっておけばだんだん大きくなり、繕っても突っ張ってしまって、使い心地が悪くなる。こまめに繕うことが大切なのだ。

 

こんな繕い事は、世の中の大量生産、大量消費に逆行している。でも、この精神が大事なのだと、心に浮かんだ。それは、物ではなく、人に置き換えたらよくわかる。人が物のように扱われ、取り換え可能な部品として社会に組み込まれ、人の心の状態を見ることがない世界はなんと生きづらいことか。世の中の風潮ではなく、これが、政治の世界に浸透したら、大変なことである。そして、現実の日本がそうなっていることに、改めて怒りを感じる。

 

繕って物を使う精神は、失敗しても人生をやり直す精神にも通じる。老いた人間や、能力の低い人間も大事にする精神につながる。繕って使おうという文化は、人を使い捨てにしない文化に通じると思う。