台湾を守れ

香港の反政府派の取り締まりのために制定される国家安全法をめぐり、同法を管轄する「国家安全維持公署」を設置ことになったと、20日中国国営新華社通信が報じた。もうこれで、香港の反政府運動は大きく抑えられることになる。そして、この中国の動きの矛先は、次は、台湾海峡をはさんで台湾と言われている。

 

米国をはじめ世界の国々は、この中国の動きに反対である。しかし、それに引き換え、台湾を目の前にする日本の態度は定まらない状態であるのだ。政界も財界も中国におもねり、断固とした態度がとれていない。

 

台湾は、日本がその精神を伝えた最大の地域である。日本統治の50年で、疫病と不毛の土地を近代的な国家へと変貌させた。そこには、日本人先達の命をかけた努力があるのだ。後藤新平はその医学の知識を持って衛生設備を整えた。新渡戸稲造は農業経済の専門家としてサトウキビを台湾の産業にした。明石元二郎水力発電により台湾の産業の骨格を作った。そして、土木技師八田紘一は当時東洋最大とされるダムを作り、広大な耕地を作った。

 

また、新渡戸稲造はその経験を基に「武士道」を英文で著し、世界に日本精神を伝えたのだ。その精神はその後、李登輝総統に受け継がれている。社会基盤とそれを支える精神が台湾には引き継がれている。

 

さらに、戦後、門田博元陸軍中将が台湾に密航し、その指揮のもとに台湾を中国共産党から守ったことからも、台湾に対する日本人先達の思いの深さを感じるのだ。数えれば多くの先達の思いが埋め込まれた台湾を、他人事のようにしてはならない。

 

香港はもうだめだという事ではない。台湾からの強い発信が、中国共産党の暴挙を抑え、香港の市民、しいては中国本土の虐げられ続けている中国国民に勇気を与え、応援することになるのだ。