日本国民とは

憲法で「日本国民」と表記するとき、それは何を意味するのであろうか。憲法で日本の人達はこのように考えています、という時、その日本の人達とはだれなのでしょうか。もちろん、日本国籍を持っているのが日本人である、というのは説得力がある。でも、国籍が国会議員でも不明なこともあるし、また国籍を持っているとしても、つい最近取得したという人もいる。だから、憲法で「日本国民」という時は、その意味するところを吟味しておく必要がある。

 

単に、日本に住んでいるとか、日本国籍をもっているとかではないとすると、日本人とは何であろうか。それは、日本の風土の中で育ち、親や先祖の思いを受け継ぎ、日本の社会慣習を身に着けた人、というしかない。外国の人が簡単に「日本人」にはなれないし、その逆もあり得る。だから、外国の人が簡単に「日本人」にはなれないと言うところの、日本人というのが、憲法で言うところの「日本国民」に一番近いと思う。

 

では、改めて日本人とは何か。それは、周りが海で自然の城壁に囲まれ、長い間他民族の侵略がほとんどなかったこと。狭い土地にひしめき合って暮らし身を寄せ合って暮らしてきたこと。四季の変化が大きいが、工夫をしてそれと共生してきたこと。神話から続く先祖に畏敬の念と、その重要性を認識し、2千年以上続く国体を維持してきたこと。このような長い時間によって醸成された日本人の意識こそが「日本人」なのである。

 

ということは、現時点の、今生きている日本人をしてのみ「日本人」とは言うことができない。そして、このような観点で、「日本国民は…」と書き始めると、決して現在の憲法のみならず、西欧の憲法をベースとして考えることは出来なくなる。だから、「日本国民は、和をもって行動の規範とする。」と書き出すべきではないか。