愛し合う夫婦

年老いて仲良く手をつなぐ夫婦の後姿はほほえましい。僕は最近そういう夫婦を見ることができた。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏夫妻、森友学園問題で起訴された籠池泰典・諄子夫妻。いずれも夫婦そろって記者会見に登場している。

 

籠池夫妻の記者会見で、諄子氏が「お父さんと結婚してよかった」と述べたのを聞いて、僕はハッとした。その時に浮かんだのが、吉野彰氏夫妻の姿であった。夫の晴れの姿に喜ぶのは当然だが、一生懸命に夫を応援し気遣ってきた気持ちを奥さんから感じ取れた。この2つの夫婦は愛し合っている。そしてそれがあったからこそ、長い試練に耐えてこれたのだ、と改めて感じた。

 

籠池夫妻の場合、300日に及ぶ長い拘留、しかも夫婦が別の場所にいたという。その生活は奥さんの話によれば、精神を痛めつけられる厳しいものであったという。一人がやっと入れる風呂桶、しかも何人か入った後の湯につかり、そしてたった15杯の桶水で体を洗い体を拭く。大便の匂いに耐えかねて配管の掃除をする。このような生活を300日も続けたら、通常は気持ちが萎えてしまうのではないか。これに耐え、耐え抜いた自分たちに誇りを持った姿がありました。

 

旦那さんの泰典もはばかることなく「私たちは愛し合っていますから」という。僕はこれだと思った、この長い拘留生活に耐えてかつ、自分たちの正しさを主張できる強さの秘訣がここにある。ノーベル化学賞受賞の吉野彰夫妻にしても、長い間の出口の見えない研究生活を耐え抜いた力は、夫婦の愛し合う思いによるものだったのだと分かった。

 

愛し合う男女の合わさる力はとてつもなく大きい。これに関して、僕はもう2組の夫婦を上げておきたい。一人は彫刻家で詩人の高村光太郎、もう一人は思想家の西部邁。2人とも妻を病気で亡くしている。でも最後まで妻をいたわり苦しみ悲しみ、愛し続けるのだ。二人とも妻を愛する気持ちによって、自分が支えられ、自分の業績を作り上げたと思う。

 

これに関し、「成功哲学」の著者ナポレオンヒルも、「悪魔を出し抜け」の中で、成功するには誘惑に負けない強い精神が必要であるが、その最も強いのは、気持ちを共有した愛し合う男女によるパワーであるといっている。

 

僕は、これから、「愛し合う夫婦」というカテゴリーを、世の中の真実を見分ける基準の一つにしようと考えている。

 


言論ながさき講演会 真相トーク 森友事件 籠池 泰典・諄子夫妻を招いて