僕の身体は宇宙船

深夜、気がつくと、全身に血液が勢いよく流れていた。ももとふくらはぎが熱い。耳を枕に当てると、ドク、ドク、ドクと流れる音がする。

深めの傷をした左手の中指の先が、少し痛い。昨夜、布団に入った時は、心臓は静かだった。でも今、力を込めて血液を送り出している。

ああ、僕の身体が戦っている。人知れず、真夜中に、血液を全身に巡らしている。あの傷口を治しているのだ。もしかしたら、邪悪な侵入者と戦っているのかも知れない。

指はまだ少し熱を持っている。でも以前よりずっと楽になった。

僕の身体は、虚空に浮かぶ宇宙船。誰が司令するともなく、確実に動いている。僕はじっとその音を聞いていた。