ものづくりの魂

人の背後にはそれぞれ魂がいるのではないかと思うのです。その魂は、人の体、人の心を通して、自分の思いを成し遂げようとしている。もしその人が、その人の魂の思いを受け入れたなら、その人は、その魂の意思に従ってこの世を過ごすのです。魂の思いがわからない、見つからない、気がつかない、さらにはそれに従わなかったり、逆らう場合、人は精神的な病に陥るのではないでしょうか。

 

僕は、僕の背後には、ものづくりの魂がいるのではないかと思っています。その魂が、僕に何を作るのか、何を求めるのか、どんな材料を使うのか、そしてどうしたら満足するのかを決めているのです。僕には、作りたい世界のイメージがあります。それは、無邪気な子供がキャッキャと言って喜ぶものです。今自分がここにいることが楽しくてしょうがない、そんなイメージです。僕はその世界に向かいたいのです。もしかすると、それは魂が求めている世界なのかもしれない。そんなふうに感じています。

 

今作りたいと思っているものは、椅子、テーブル、靴、メガネ、帽子、車椅子、そり、傘、小屋、ランプなど、座敷わらしが思わず出てきてしまうような小さな小道具です。

 

実は、2・3年前までは、自分の作りたいものがわかりませんでした。作ってはやめ、新しいものにチャレンジしてはやめ、何を作りたいのか迷っていたのです。それが、昨年ぐらいから心が定まってきたのです。あまり迷うことがなくなったのです。この気持ちを知って、実は、僕の背後に魂がいるのだと思うようになったわけです。生活の役に立つわけではない、今現在そんな経験も技量ももない、でも、心に迷いがなくなったのです。そして、もしかすると、みんなが求めているものなのかもしれないと思うようになってきたのです。