木目模様

子供の頃、寝るときに見ていた天井板の木目が、印象深く残っている。祖父の昔話を聞きながら、それは何度見ても飽きない、想像の世界であった。ふと思い出してみると、木材は身近にたくさんあった。天井以外にも、柱、障子、欄間、廊下、扉、そして机や食台。そのほとんどが隠され、無くなってしまったことに気づくと、無性に恋しくなる。

 

木の触感や木目、その時は気づいていなかったが、ぬくもりがあった、深い響きがあった。それは、それを経験していなければ、伝えることができない。でも、僕ら、団塊の世代、幼少の頃は戦後であった人には、忘れがたい感覚であろう。都会生活の中で、それを伝えたり、残したりするのは、もうできないであろう。それは、学んで体験するしかない。でも仮にそうだとしても、あの優しさや、暖かさは何とか残したいものだ。

 

僕が、木目に心を惹かれるのは、あの頃のぬくもりを求める気持ちなのかもしれない。それを確認するためにも、改めて、それを学んで残したいと思っている。