資産を活かすとは

僕は、余暇の過ごし方として、工芸をやっている。主な作業は木工・皮工芸だが、金属工芸にも少し入った。僕の目的は、自宅を楽しい生活空間にすることだ。子供の頃描いた、楽しさを思い出し、それを再現しようとしている。壁から電車が出てきたり、柱を動物が上って行ったり、2階からロープで1階に下がったり、おもちゃが楽器を演奏したり、天井に虹の光があったり、床下に小さな部屋があったり。もう老人になってしまった今、あの頃の思いはだいぶ忘れているけれど、それを思い出すだけでも生き生きとできるのです。

 

現代人は、デズニーやキャンプ場に行って楽しさを取り戻す。日常を離れるのには、交通機関とお金を使わなくてはならない。楽しさを日常以外に求めるしかないと思っている。でも、僕は、楽しさを日常の中に取り戻したいのだ。あの頃、子供の頃のほのかに思い描いていた空間は、決して外にはなかった。家の中がデズニーだった。何のために生活し、人生を送るのか。それは、まじめに働くだけではない。楽しいと思う気持ちを味わう事こそ、目的なのではないだろうか。

 

自宅という資産を活かす、その中に、与えられたものだけではないものを実現する、このことこそ、楽しさの原点ではないだろうか。遊び心ではないでしょうか。僕にどこまでできるかはわかりません、大したものはできないで終わるかもしれません。しかし、少なくとも、このような気持ちだけは残したいと思うのです。