半導体事業の現場の話

深田萌絵さんの半導体事業に関するYouTubeを見ているけれど、いまひとつ実感ができないことでもありました。しかし、本日職場で聞いた話は、肌身に沁み、その実態を感じることができましたので、ここに書いておきます。

 

彼、Yさんは、警備の職場で知り合った同僚です。現在60歳、元はNECのメモリ事業部やエルピーダメモリの協力会社の社員だったとのことです。品質管理を担当してたとの事でした。

 

半導体事業は、機械装置に何千億の投資が必要な事業ですが、それだけではなくいろいろなノウハウがあるそうです。高額とはいえ機械装置はお金を出せば買えますが、ノウハウとは技術も経験と蓄積で、それを知る人材がいないと事業は起こせないと言うことです。

 

例えば品質管理で過負荷試験や高温試験などを繰り返し、それらを現場に還元し、薬品や濃度や時間などを調整していくことによって、信頼性の高い製品ができていくと言うことです。

 

2000年初頭、NECと日立のメモリ事業部を合体したエルピーダが誕生した頃、国家を上げて半導体事業に乗り出した台湾や韓国に対し、既に遅れをとっていたとのことです。技術を知る人材は、高額な年俸で引き抜かれ、国家を挙げて買い取った装置は日本を離れていきました。これに対して、日本の産業政策は、もう日本の半導体はダメだ、これこそ日本の為だと言うスタンスだったそうです。

 

やはり、先を見る国家の戦略と人材がポイントだと思います。優秀な人材は億単位の報酬で引き抜かれて言ったそうです。しかし、事業が定着するや、それらの人材は首を切られていったとの事でした。自国の産業を発展させるためとは言え、日本人の感覚とは違うようです。何億もの金を払ったんだからもういいだろうと言うことで、日本は半導体事業を発展させる基盤を失っていったのです。

 

エルピーダの倒産よって職を失ったYさんは、防災センターの中で、コミュニケーション能力の低い人として小さく生きています。彼のためにも日本の為にも残念で悔しい気持ちが起こってきます。本当の意味で現場を知らない政治や評論家が、日本を誤った方向に導いてしまった結果に思えてなりません。

 

几帳面で誠実な日本国民の築いてきた産業のひとつひとつを、本当に大事にする政治や国になってほしいと願います。