John Galt Speaking

アメリカ大統領選挙の混乱の原因は、正義と邪悪の争いなのだ。それも歪んだ争い方を呈している。トランプ政権と目覚めたアメリカ国民が、奪われた正義を取り戻そうと問題提起しているのに対し、民主党バイデン側は、その点に全く触れず、それ以外の問題点を指摘しているのである。つまり、両者は同じ土俵で戦っているのではなく、別々の土俵でそこにはいない相手と戦っているようなものである。

 

しかし、どう見ても、バイデン側は同じ土俵で戦うことを避けているとしか見えない。つまり、トランプ側の指摘が自分達の弱点であることが分かっているので、その問題には触れたくないのだ。だから、トランプ側の提起する問題を無視し続けるしかないのだ。しかし、それも時間の問題であろう。トランプ側の仕掛けた攻撃は、バイデン側の逃げ場を追い詰めている。報道機関の役割を失った大手マスコミがどう言う対応をするか注目に値する。

 

恐らく、近いうちに、トランプ大統領の歴史的な会見があり、アメリカ国家の基盤が大きく変わる事態が起こると思う。そういうのは、今までの社会の歪みからの揺り戻しとして、避けられない大きな力が加わると思っているからだ。現代のどうしようもない息苦しさ、政治的迫害、格差など、人間の本性を追い詰める事態はもう限界に近いと思われる。その、問題の深刻さ、根深さをトランプ大統領が白日に晒してしまった。もう元には戻らないと思う。

 

僕は、かつて読んだAtlas Shrugged(Ayn Rand著)の「John Galt Speaking」を思い浮かべた。アイン・ランドは、ロシアに生まれ共産主義の問題からアメリカに移住し、Objectivismという哲学を提唱する作家である。彼女は、全体主義的傾向は、共産主義のみならず、アメリカ社会にも浸透していることを警鐘した。自己を犠牲にし、平等奉仕が価値あるとされる社会は、人間の幸せを求める心を封印した。本来の心を取り戻し、自分の頭で考え、自分自身の価値観で行動することが必要であると説いたのだ。

 

「John Galt Speaking」は、迫り来る社会危機への現大統領のラジオ演説を封印し、John Galtが代わって放送するのである。そして、みんなが忘れている心(mind)を取り戻すことこそ、危機を乗り越える鍵なのだと呼びかけるのである。自国第一を唱えるトランプと重なる感じだ。国民を目覚めさせ、価値観を取り戻そうとしているのである。