縄の文化

インカ帝国の縄(なわ)文化を僕も馬鹿にしていました。何で「文字」を持たなかったのか?と。くろんぼという言葉には侮蔑の意味があった。ほぼ裸で踊っているなんて!と。でもその軽蔑の感覚こそが、世界をダメにした悲惨な人類の歴史なのです。そして、黒人や黄色人は劣っているという、西欧の優越感覚こそ現代の歪のもとでもあるのです。

 

もう一度言います。僕自身も馬鹿にしていたのです。そして上から目線で見ていたのです。それぞれの文化には、その背景に長い深い宇宙の流れがあったのです。「進歩」とか「文明」の思想で、自分たちが正しく、相手の深い流れの意味を切り捨ててきたのです。

 

確かに現在の科学文明は目を見張るものです。でも、高々数百年、せいぜい2・3千年の変化です。それぞれの文明には、何千年何万年の間に積み重なった、深くとどめることのできない流れがあるのです。

 

さて、インカ帝国は文字ではなく、縄で意味を伝えてきました。そして日本人の先祖も縄文文化をもっていました。縄で作った土器は単に形を作るだけでなく、何かの意味を持たせていたのかもしれません。縄でなければ表現できない、心の奥底の何かを伝えていたのかもしれません。文字では切り捨てられた、縄で表現できる何かがあったのかもしれません。自分だけの視点ではなく、相手の視点を探る姿勢が必要と思います。