読書

1か月に何十冊もの書物を読む人がいます。読みたいという強い願望と、長年の訓練でそのようなことが可能なのでしょう。僕はせいぜい1か月に1冊か2冊程度なので、とても信じられません。僕は、本を読むときは、理工学書を読むときのように、一つ一つ理解して進むのでとても大量に読み進むことが出来ないのです。

 

一生懸命たくさん読もうと努力した時もありました。でも、もうそれはやめました。歩くしかできないのに、無理に走らせたら転んでしまうだけです。大事なのは、地道にゆっくり読み続けることでしょう、自分のペースを守って。

 

先月は夏目漱石の「心」をゆっくり読みました。心の描写が一つ一つわかるようになって、とても面白く感じました。ああそうか、こうやって読書をするんだと気が付きました。これは歳を重ね経験を積んだからでしょう。そして、今、なんとドストエフスキーの「罪と罰」を読んでいます。すこしずつ、登場人物をメモしながら。人生の苦しさとか、心の葛藤とか、社会の理不尽さとか、それをじっくり感じながら読むようにしています。文章が頭を経由して、心に入っていくことで精神性を確認したり、高めたり、そういうことが大切なのです。人として生まれたからには、少しでも自分を進めるために、このやり方を続けていきたいと思います。