七夕

7月7日は七夕です。小さいころ、竹の葉に飾りをつけ、願い事の紙を張った覚えがあります。家族で作った飾りはただの色紙ではなく、宇宙の果てにつながっているような気がしました。この、夏の夜の七夕の風情は、なんとも心が和らぐ深遠な思いがありました。織姫、彦星が、年に一度逢うその時に願いを届けるとは、なんと豊かな想像の世界です。そんなことは作り話だと言う事はうすうす分かっていました。でも、とても楽しい思いがしました。子供の遊び心を遠い宇宙につなげるとても良い風習です。

 

さて僕の家では、妻が教えるピアノ教室に子供たちがやってきます。そしてこの時節は、妻が作った七夕が部屋に飾ってあります。その飾り気のない飾りには、昔の、生活に溶け込んだ七夕の雰囲気を見ます。作られた遊びではない、子供の頃の遊び心がその中にあります。きっとこれは、ピアノ教室にやってくる現代の子供たちの心にも響くのでしょう。この少子化の時代でも、妻の教室はたくさんの子供たちがやってきます。

 

作られた遊び、押しつけられた笑い、お金のためのエンターテインメント。この中には存在しえない世界が、かつての七夕の習慣にはありました。何気ない妻の七夕に気が付き、切れかかかった糸をつむぐように、この気持ちを残していきたいと思った次第です。