センメルヴェイス反射(確証バイアス)

センメルヴェイス反射とは、人間の自分が間違っていることをなかなか受け容れられない性向のことである。長い間の習慣でやってきたこと、特にその世界における権威的な人々によって推し進められてきたことが、科学的にみて間違いであったことがわかっても、それを認めることが出来ず、その間違った事を続けてしまうのである。

 

センメルヴェイスとはウィーンの若手医師で、下記の経過で正しいことを主張しても受け入れられず、非業の死を遂げるのである。

① 1847年、ウィーン総合病院の若手医師センメルヴェイスが、産褥熱での死亡は医師の手の消毒で防げることを発見した。別の病院では、医師ではなく、助産婦がやっていたが産褥熱の発生はなく、その違いを見ると、手に何かあるのではないかとセンメルヴェイスは気が付いたのである。(この時点は細菌の存在が分かっていなかった)

1850年、センメルヴェイスの提言は黙殺され、解任される。(若手の医師からの提言を当時の権威たちは拒否)

1860年、センメルヴェイスは著書を発表し、論敵を激しく批判

④1865年、センメルヴェイスは精神病院送られる。逃亡したが、取り押えられ暴行され、死亡する。

 

この事件は、現在の視点からすれば、当然の主張であったが、当時の権威たちは受け入れられなかったのである。現在の僕たちはこのことを冷静に客観的に判断できる。しかし、そういってこの件を看過できるであろうか。現在は現時点での、センメルヴェイス反射があることを知らなくてはならないのだ。

 

長いこと、緊縮財政を主張してきた財務省や政府は、国債の発行は政府の借金であり、同時に国の借金であると言ってきた。しかし、これは間違えなのである。MMT理論という新しい理論では、これは借金ではないのである。日本銀行に、新しい貨幣を発行させればいいだけなのである。アメリカなどの諸外国では、この論理により、多額の貨幣を今回のコロナ対応に使っていることをみれば、この考え方を拒否はできないはずである。

 

しかし、政府や財務省はこれを受け入れられない。これはまさに、現在のセンメルヴェイス反射と言ってもいいであろう。古い考え方に凝り固まった、老人たちには早く交代をしていただく必要を感じる。