中国の衰退

僕は西欧からの脱却を考えていますが、その前に中国の存在をどう捉えるかも大切な観点と思います。率直に言うと、中国は文化的に衰退していると思います。中国が本当に優れていたのは、紀元前孔子老子や東洋の思想を作り上げた時代だと思います。それは道徳という社会の規範を作り上げました。そしてそれは朝鮮・日本にも伝わりました。

 

しかし、中国という大陸はあまりに広く、民族も多く、統一して国体を維持することが難しかったと思います。ですから、孔子老子の時代の国の範囲が狭い時はよかったのですが、国の勢力範囲が後代になると、国体の存続どころではないのです。結局前の国を倒し、全く新しい勢力に塗り替える、そして前の制度の一部を形として継続していくということになります。ぼくは、この状態は、西欧の革命による国体の交代と類似するものを感じます。文化は引き継がれているようだが、そこに断絶がある。伝統・先祖より現世・個人に重きを置くようになるのです。

 

その最たる形態の一つが、共産主義社会でしょう。中国は東洋ではなく、全くもって西欧になってしまったと思います。僕は、中国は紀元前の時代は確かに「東洋」であったし、文化思想の中心であったと思いますが、今はそのかけらも感じられません。もちろんそれは、個々の中国人に対してではなく、現在の政治体制に対してです。

 

朝鮮についても同じことが言えます。個々の国民の中には、東洋的感覚が存在しており、友人として親しみを覚えるものがありますが、国体としては西欧のからをかぶってしまい、もう従前の東洋ではありません。中国や朝鮮のこの点から考えてみても、「西欧」とは何であったのか、その本質は何なのかをもう一度見直す必要があると思うのです。