野党はもう不要になってしまった

4月1日参議院決算委員会で「コロナウィルスショック」対応の緊急経済対策について、政府・日銀を問う自民党西田昌司議員の中継を見た。西田議員は経済分野出身という事で、感染対応というより、ウィルス感染による経済活動の停止問題に焦点を当てた質問であった。何よりも事業活動を継続させる事、そして経済回復時の支援のあり方などを取り上げていた。先日発表されたGDPの成長率は-7.1%であったことから、今後のことを考えると年率で-10%の落ち込みが想定される。500兆の日本のGDPに対して、10%であるところの50兆から60兆の“貸し出し”ではなく“真水”が必要ではないかと安倍総理に問うていた。これは、やれマスクだ、商品券だと言って、思い切った舵取りをできない総理に対する痛烈な批判である。

 

安倍総理の回答は、「5年間の無担保融資でありまして、5年間は返済は必要ないのでありまして‥」と、融資にこだわったものであった。そして、最大限の努力、前例に囚われることなく、などいつもの口調で具体性にない一般的な回答に思われた。米国などとっくにGDPの10%程度の金額を提示して進んでいるのに、またしても後追いのリーダシップとなって歯痒い内容であった。

 

しかし、このように今までのことに囚われな提言が出てきたことには希望を持った。しかも、その提言が自民党議員から出ているのである。自民党の奥深さしぶとさを感じた次第だ。

 

さらに、先々の経済回復の観点から、消費税ゼロの提言もあった。これによって、年間30兆円の経済支援と同じことになるのだ。そして、現実には消費税が社会保障に十分活用されていないこと、消費税を止めることで経済的に困窮する国民に大きな支援となる事を総理に確認していた。しかし総理は、消費税が社会保障に貢献していること、観光や航空などに焦点を当てて支援していくことが大切であると言って消費税減免には消極的であった。何故こうも消費税にこだわるのであろうか。総理の発言は何かの力による“かなしばり”にあっているようにも見える。

 

さらに西田議員は、そもそも国の財源は“税”ではなく“国債”である事、国債は国の借金ではない事を提言する。すなわち、国はどんどん金を国民に出せという事なのだ。金本位制ではない現在、日銀は貨幣をいくらでも発行できるのである。西田議員が黒田日銀総裁にこの点を確認したら、その通りですとこれを認めた。ということは、財務省の言う国債は国の借金であると言うのは嘘だったと言うことになる。また、一定以上のインフレが発生したら、消費税を取ればいいのだと西田議員はいう。そのために消費税があるのだと言わんばかりだ。

 

もしかしてこれは、山本太郎の主張ではないか。そしてこれこそ、保守本流の議論ではないか。いまだに消費税5%にも踏み出せない今の野党はもはや存在理由を失ったと思える。