日本人の魂は日本人だけのものではない

僕は、日本人の精神性は、この日本の歴史と風土により作られたものと思っていた。しかし、それは間違えだった。世界を見ると、現在の日本人よりもっと日本の精神を保った人がいるのだ。日本人の美徳とか氣高さとか言ったものは、日本人だけのものではなかった。

 

その例に今の台湾があることは既に語った。そして、今南米のウルグアイにもそれがあることを知って、日本人の精神性は普遍なものと確信したので、それを紹介したい。

 

それは、南米の小国ウルグアイの、ホセ・ムヒカだ。彼は、2010年、75歳で大統領となり5年間、月給の90%を毎月チャリティなどに寄付し続け、大統領官邸には移らず妻と二人で二間の農家に住み続ける。そして退任した今も、年金の大半を寄付して農業をやっているのだ。これこそ、かつての日本の精神性、武士道にもつながる。

 

しかし、その人生の大半は、残忍な軍事独裁政権との戦いであった。拷問、井戸の底での2年間も含め13年間の牢獄。長い闘争を経て、国を民主化し大統領になったのだ。生まれは貧しく、わずかな家計を助ける花の栽培を周囲に住む日系人から学んだという。この時の日本人からの恩恵を忘れていないという。そして、現在の日本に、その魂がなくなったと言っているのだ。

 

下記は、Youtube、Smile Laboで投稿された『「日本人は魂を失ってしまった」“世界一貧しい”元大統領の目に映った日本』からの抜粋である。

 

ムヒカ前大統領は、いまも、田舎の農場の小さな家に奥さんと愛犬とともに住んでおり、のんびり農業や養鶏をして質素に暮らしています。

 

大統領時代のムヒカ氏は、国連に中で現代の消費社会を痛烈に批判していました。

 

「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」

 

「人が物を買う時は、お金で買っていないのです。そのお金を貯めるための、人生で裂いた時間で買っているのです。」

 

「私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命より高価なものは存在しません。

 

ムヒカ前大統領はインタビューのなかで、幼少期からの「日系人から受けた恩」や偶然見かけた「日本人サッカー少年」など、日本に関するエピソードを語っています。世界一貧しい大統領の、清貧の原点は日本人だったというのです。

 

ムヒカ大統領は7歳で父親を亡くしました。母親は少ない父の年金すら15年ももらえず、生活に苦しんでいたため、花を栽培して生計を立てていました。実は家の近所に10軒〜15軒ぐらいの日本人家族が住んでいました。花の栽培のきっかけはその日本人の家族でした。働き者の日本人は、農民の思考で狭い土地に多くのものを耕していたのです。幼いムヒカ大統領は日本人に様々な花の育て方を教わり家計を助けました。今でも感謝していると言います。

 

「50年前の私たちは、富を平等に分配することによって、世界をより良くできると考えていたんだ。でも、今になって気がついたのは、人間の文化そのものを変えないと何も変わらないということだ。私はみんな豊かさというものを勘違いしていると思うんだよ。大統領は“王家のような生活” “皇帝のような生活”をしなければと、思い込んでいるようでね。だが、私はそうは思わない。皆と同じ生活をしなければいけないんだ。国民の生活レベルが上がれば、自分もちょっとだけ上げる。少数派に自分を置いてはいけないんだ。」

 

 

彼は大のネクタイ嫌いで有名です。

「ネクタイなんて、首を圧迫する無用なボロきれだ。しかし、世界中が英国紳士のような服装をしなければならなくなった。それが世界中に強制されたものだからです。日本人ですら信用を得るために、着物を放棄しなければならなかった。みんなネクタイを締めて、変装しなければならなくなった。欧米の価値観一色に塗り潰されてしまったんだ。」

 

彼の哲学の根底には、日本人への尊敬の念と、私たちへの歴史の深いりかいがありました。

「ペリー提督が日本を訪れたときの話さ。時の日本は『西洋人は泥棒』って思っていた時代だね。あれは間違いではなかったけど、賢い政策で対応したとは思うよ。西洋にある進んだ技術に対抗できないことを認め、彼らに勝る技術を作ろうと頑張ったんだ。そして驚くことに、日本人はそれを成し遂げてしまった‥‥。でもその時日本人は、魂を失ってしまったかもしれない。」

 

「人間は必要なものを得るために、頑張らなきゃいけない時もある。けれど必要以上のモノはいらない。幸せな人生を送るには、重荷を背負ってはならないと思うんだ。長旅をする時と同じさ。長い旅に出るときに、50Kgのリックを背負っていたら、たとえ、いろんなモノが入っていても歩きことはできない。100年前150年前の日本人は私と同意見だったと思うよ。今の日本人は賛成じゃないかもしれないけどね。」

 

多くのモノを持たず、それ以上を望まなかった日本人。「足るを知る」を美徳とした文化は、現在大きな変貌を遂げています。今の日本については、こうつずけました。

「産業社会に振り回されていると思う。日本はすごい進歩を遂げた国だと思う。しかし、本当に日本人が幸せと感じているのかは疑問なんだ。西洋の悪いところまでマネして、日本の本来の性質を忘れてしまっているんだと思う。素晴らしい日本文化の根源をね。」

 

「いろんなモノを買い込むのは好きじゃない。その方が自由な時間が残るんだ。なぜ、自由なのか‥‥?あまり消費しないことで、大量に購入した物の支払いに追われ必死に仕事をする必要がないからさ。根本的な問題は、君が何かを買うとき、お金で買っているわけではないということさ。そのお金を得るために使った『時間』で買っているんだよ。支払うために働く必要があるのなら、それは本当の自由とは言えないんだ。」

 

「働いて、働いて、働いて、毎日職場との往復を続けていたら、気がついたらすでに老人になって、唯一できたことは、請求書を支払うことになってしまう。若さをそんなことに奪われてはいけないよ。毎日を大切に使いなさい。」

 

「本当のリーダーとは、多くの事柄を成し遂げる人ではなく、自分を超える人材を残す人だ。私がいなくなったとき、他の人の運命を変えるような、若い子たちが残るよう貢献したいんだ。」

 

「日本にいる子どもたちよ。君たちは今、人生で最も幸せな時間にいる。経済的に価値ある人材となるために、勉強ばかりして早く大人になろうと急がないでほしい。遊んで、遊んで、子どもでいる幸せを思う存分味わっておくれ。」

 

元大統領の言葉は、物質文明と大量消費社会にまみれた、現代社会がかかえる根本的矛盾をえぐり、私達に日本人の心に突き刺さります。

 


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